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オートファジー・健康・病 (5)

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( 某日。 「 オートファジー・健康・病 (4) 」の続き。 James W. Clement,  The Switch: Activate Your Metabolism for A Healthier Life  (Simon & Schuster UK, 2019) を読む。 John Taylor Trio,  Decipher  をかけながら。 常にオートファジー catabolic状態にいるのが良いわけではない。Anabolic な状態に入るのが必要な時もある。生活サイクルへの示唆が記されている。 今のところ、完璧なcatabolic-anabolic パターンについての意見の一致はない。著者によれば、最新の研究が示すのは、1年を月単位で12分割しcatabolic 8 対 anabolic 4 で生活するのが最も健康的ということらしい。8対4の分割の仕方は人それぞれで。 “there’s no consensus on a perfect catabolic-anabolic pattern to follow, but in lieu of new studies, I think the 8-to-4 ration is the healthiest” (p. 217).  “a catabolic state about eight months out of the year and an anabolic state the other four months… however you want to break it down” (p. 229). 1週間単位でのタンパク質摂取量について。英米の標準体型に基づいているから標準体型の日本人には完全には当てはまらないかもしれないけれども。 卵や乳製品を含む動物性タンパク質摂取量を今よりも遥かに減らすこと。ただしオメガ3が豊富な魚類の摂取は減らす必要はない。肉摂取量週225g以下への制限を目指すこと。 “Eat a lot less animal protein, including eggs and dairy products (but excluding omega-3-rich fish).” “Try to limit your weekly meat intake to 225

オートファジー・健康・病 (4)

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( 某日。 「 オートファジー・健康・病 (3) 」の続き。 James W. Clement,  The Switch: Activate Your Metabolism for A Healthier Life  (Simon & Schuster UK, 2019) を読む。 生物の進化論の観点から、例えば一年のうちで栄養を摂取できる時期と飢餓の時期、遺伝子と栄養所要量について述べられている。 身体の燃料として燃やしまた脂肪として蓄えるために、グルコースを血液の流れから細胞に素早く移送することができる遺伝的素因を持つことは、我々の、部族的・狩猟採集的な祖先に進化論的強みを与えただろう。受け継がれた遺伝子で、糖尿病、肥満、高血圧といった疾患を発症しやすくまたそうした疾患にかかりやすくなるリスクを大いに増加させるものたちは、我々の早期の祖先たちが、長期にわたる飢饉を生き延びるために十分なエネルギーを蓄える必要があったことと同時に剣歯を持った虎から逃げ切るのに十分なエネルギーを持っている必要があったこと、に由来している。数億年にもわたる進化の中で、グルコース代謝機構は自己を構成する細胞が核をもつ多くの生物種にまたがって保存されてきたのだ。 “a genetic predisposition to quickly send glucose from our bloodstream into cells to be burned as fuel and stored as fat would have given an evolutionary advantage to our tribal, hunter-gathers ancestors. Inherited genes that massively increase the risk of developing (and predispose someone to) such diseases as diabetes, obesity, and high blood pressure stem from our early ancestors’ need to store enough energy to survive long-lasting famines, yet to have enough e

オートファジー・健康・病 (3)

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( 某日。 「 オートファジー・健康・病 (2) 」 の続き。 James W. Clement,  The Switch: Activate Your Metabolism for A Healthier Life  (Simon & Schuster UK, 2019) を読む。 Pet Shop Boys,  Discography: the Complete Singles Collection  をかけながら。 インスリンとオートファジー。 インスリンレヴェルが上昇するとグルカゴンレヴェルは下降し、前者が下降すると後者は上昇する。グルカゴンレヴェルが上昇すると、オートファジーが作動する。オートファジーの最重要点は、新しく健康なタンパク質と細胞組織を生産できるように、そうではないタンパク質と細胞組織を処分すること。常時オートファジーが作動しているのが良いということではない。作動しすぎもしなさ過ぎも細胞に、そして体に、有害である。 “if the insulin level goes up, the glucagon level goes down and vice versa. … When your glucagon level rises, it triggers autophagy” (p. 44). “Certain proteins and tissues are destroyed so new ones can form to replace them. It is the essence of autophagy” (p. 86). “too much or not enough can be harmful to the cell, and thus to you” (p. 45).  植物よりも肉類と乳製品においてより強力な生理化学的効果をもつと思われるアミノ酸類 (ロイシンやイソロイシンなど) は、インスリン放出を大いに促すだけではなく、他のアミノ酸とは違って、グルカゴン放出を促進するのではなくて遮断する。  “Certain amid acids that appear to be more potent in meat and dairy products than in vegetables, such as leucin

オートファジー・健康・病 (2)

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 ( 某日。 「 オートファジー・健康・病 (1) 」の続き。 Neil Young, Harvest を聴く。 James W. Clement,  The Switch: Activate Your Metabolism for A Healthier Life  (Simon & Schuster UK, 2019) を読む。 インスリンおよびインスリン様成長因子1は、mTORを作動させたままにし、細胞を成長生産モードから動けないようにする効果を持つ。オートファジーを作動させる唯一のではないけれども最上位の方法はこの効果を阻害すること。 “The primary, but not exclusive, means of turning on autophagy was by blocking the effect that insulin and the related insulin-like growth factor 1 (also known as IGF-1) had on keeping mTOR activated and the cell stuck in “production” mode” (32).  インスリン上昇とインスリン様成長因子1の作動を抑えること。 インスリンレヴェルは糖質摂取でもタンパク質摂取でも上昇する。 “protein stimulates insulin release as much as carbohydrate does” (p. 102). ではインスリン様成長因子1のレヴェルはどうか。 主に動物性タンパク質がインスリン様成長因子1のレヴェルを上昇させる (p. 71)。 “Consuming less animal proteins and dairy products lowers IGF-1 levels…, which turns down mTOR” (p. 228). “This is how one enters a catabolic state” (p. 228). 植物性プロテインに含まれる、インスリン様成長因子1レヴェルを上昇させるアミノ酸は動物性タンパク質に比して、遥かに少ない。 “plant-based proteins have far less of the amino

オートファジー・健康・病 (1)

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( 某日。 James W. Clement, The Switch: Activate Your Metabolism for A Healthier Life (Simon & Schuster UK, 2019) を読む。これは電子書籍版。  紙書籍版はなぜか副題も表紙も異なる。副題は “ Ignite Your Metabolism with Intermittent Fasting, Protein Cycling, and Keto ,” 出版社は Gallery Books (2019)。出版日はどちらの版も同じ12/31/2019。 邦訳も出ている ようだ。 タイトルの “The Switch”という語は、mTOR complexを指す。mTORは m echanistic (あるいは m ammalian) T arget O f R apamycin のことで、敢えて訳せば「機構的 (あるいは哺乳類) ラパマイシン標的タンパク質」となるのだろう。日本語文献でもmTORと表記されることが多いようだ。Complexは複合体のこと。合わせてmTORCと表記される。 副題は全て老化過程とオートファジーに関わる。優れたアンチエイジング過程であるオートファジーが作動するのは、細胞内にあるmTORCの作動が弱くなるあるいは退けられる時である。 “a prominent antiaging process: autophagy .” “Autophagy can be triggered when a certain complex, called mTOR, within cells is turned down . I refer to the mTOR complex “the Switch” (2). “The Switch is a protein complex called mTOR, short for m echanistic… T arget O f R apamycin” (p. 16; 強調原文). さまざまな経路を通じて細胞内で起こる全ての反応を総称して細胞の代謝と呼ぶ。mTORCは赤血球を除く全ての細胞内で生じるそうした経路の一つ。事実上、われわれが知っている全ての健康長寿増進のための治療介入は、mTORの働きを抑制すること

藤川孝之展で多彩さに、井澤由花子展で変化に、驚く

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( 某日。 午後に横浜で用事があり外出する。 突然 King Crimson,   Starless and Bible Black を聴きたくなり、聴きながら移動する。 35年以上は聴いている。 無事用事を終えて移動する。渋谷駅で下車し、いつものようにウィリアムモリス 珈琲&ギャラリーに行く。モカをオーダーする。今日はほぼ満席で店主さんがとても忙しく普段のように話すことはしなかった。帰り際に少しお話しして出る。 西荻窪に出る。 ヨロコビtoギャラリー に向かう。開催中の 藤川孝之 展「 歌うように 」を観る。 作家の言より引用。 「歌うように、日々絵を描きました。その時の気持ちを込めて。 シンプルな構成のもの、多色なもの、コントラストの高いもの、低いもの。 ユーモアのあるもの、言葉で説明できないもの。 多くは水張りした画用紙に顔料や黒インクを使って。」 多彩な作品群に驚く。   ゆっくり観る。 作家が在廊され小品を制作してしていた。話はせずにギャラリーを後にする。 歩いて ギャラリー フェイストゥフェイス に向かう。 井澤由花子 展「 ウィンド  風の時代  花の記憶 」を観る。 4年前の個展とは全く異なった作品群に驚く。会場には変化がわかるように、以前の作風の作品も展示されている。 以前のもの 以前は緻密な描写・筆致による水彩だった。例えば上の青い作品はF0号の大きさで、その中にみっしりと描写されている。 今回は、作家にこの3年間でいろいろ変化や思うことがあり、軽やかな筆致に余白のある作品が展示されていた。ギャラリストさんとお話ししたところ、今までの作風にはおそらく戻らない決意というか感覚があるようです、今は変化の真っ最中でハイな状態で描いた作品群です、とのことだった。 変化に驚く。言われなければ同じ作家だとは気付かなかっただろう。 帰り途バーによりシングルモルトウィスキーをストレートで3杯飲んで早めに帰宅する。 6:30 起床。 グラス一杯の水を飲んで柱サボテンとボトルツリーをヴェランダに出す。   シャワー。   大きめのカップに珈琲を淹れる。オーガニック豆  20g 、 260ml 。飲みながらメール、作業、 読書。 9:00-9:30  第一食。自炊。マグネシウム  ( にがり顆粒  2g) 、ビタミン B (Dear-Natura Mix) 、ビタミ

Bunkamura Gallery 8 で展示を観たあと、October誌を読む

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( 某日。 所用で外出する。 外出ついでに渋谷駅で下車し、いつものようにウィリアムモリス 珈琲&ギャラリーに行く。いつものようにモカをオーダーし、店主さんといろいろなお話をする。 最近は加齢に付随する諸問題について話すことが多い。いつもありがとうございます。 1時間ほどでお店を出る。ヒカリエに行き期間限定で8Fに移転している Bunkamura Gallery 8 に入る。 開催しているのは「 face to face Vol.Ⅲ 」展。「顔」に焦点を当てた展示で、出展作家は、小津航・ナカバヤシアリサ・中屋明子・松浦美桜香・松本崇宏、の各氏。 以下、敬称略。 小津航 ナカバヤシアリサ 松浦美桜香 松本崇宏 移動して古書店をいくつか見る。 Irene Kral,  Gentle Rain  を聴きながら第2食代わりにマカダミアナッツをつまみながら歩く。 結局買わず。 カフェに入って休憩する。エントリー「 姪にネックレスを贈り、自分用にリングを買い、古書を入手する 」で言及した、アメリカの季刊美術理論誌 October の Jean-François Lyotard 追悼小特集1998年秋の号を持ってきていたのでそれを読みながらコーヒーを飲む。 冒頭の John Rajchman,  Jean-François Lyotard's Underground Aesthetics を読む。リオタールの美学とその変遷について、The Figural (形象的なもの)、 The Unrepresentable (表象不可能なもの)、The Postmodern (ポストモダン) という3つのキーワードの元に論じている。使用される小難しい言葉を懐かしく思う。 表表紙左上に「7437 独語 7」というハンコが押してある。大学図書館に配架されていた書籍だろうか。 カフェを出て帰路に着く。 6:00 起床。N Y 市場終値をチェック。   グラス一杯の水を飲んで柱サボテンとボトルツリーをヴェランダに出す。   シャワー。   大きめのカップに珈琲を淹れる。オーガニック豆  20g 、 260ml 。飲みながらメール、作業、読書。 スロージョギング。腕立て伏せ 10 回 x 10 セット。 9:00-9:30  第一食。自炊。マグネシウム  ( にがり顆粒  2g) 、ビタミン

特定の絵画作品に惹かれる理由についての学術論文を読む

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( 某日。 何度か記したように、自分は特に絵画を中心にいくつか美術作品を所蔵している。 こちらにも掲載している こちらにも掲載している 。 購入した絵画作品、特に矢野静明作品は、単に視覚的な快をもたらすということで購入したのではない。「美しい」というのが理由でもない。大体観た瞬間に、自分のこれまでの生で形成されてきた感覚と記憶の総体が揺すぶられるような質の感覚があり、それが購入する大きな理由になっている。この感覚が「快」なのかはよくわからない。「不快」ではない。ただ「快」よりももっと大きく複雑な感覚である。言語化できないけれども。 なぜ特定の絵画作品に惹かれるのかについての次のような学術論文が出版されていた。 Edward A. Vessel and et al., " Self-Relevance Predicts the Aesthetic Appeal of Real and Synthetic Artworks Generated via Neural Style Transfer ," Psychological Science , Volume 34, Issue 9 (August 2023, Sage Publication). Donald Fagen, Sunken Condos を聴きながら読む。 概要の翻訳 「芸術作品の美的魅力は何によって決まるのだろうか。最近の研究では、美的魅力は視覚作品のイメージの特徴からある程度予測できることが示唆されている。しかし、美的評価のばらつきの大部分は未解明のままであり、個人の嗜好に関係している可能性がある。我々は、作品の美的魅力は自己関連性に強く依存するという仮説を立てた。最初の研究(N = 33成人、オンライン再現N = 208)では、実際の作品に対する美的魅力の評価は、評価された自己関連性によって正に予測された。第二の実験(N = 45オンライン)では、既存のアート作品のスタイルを写真に転送するディープ・ニューラル・ネットワークを用いて、合成された自己関連性の高いアート作品を作成した。スタイル転送は、自伝的記憶などの参加者固有の属性を反映するように選択された自己関連写真に適用された。自己関連性のある合成アート作品は、マッチさせた対照画像よりも美的に魅力的であると評価され、そのレベル

古川諒子個展・鈴木秀尚個展を観てギャラリエ・アンドウの様子を見る

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( 某日。 午後横浜で用事があり昼ごろに外出する。 横浜での用事を1時間ほどで無事終える。 お腹が空きそうにない。ナッツで済ますことになりそうなので最寄りのカルディで生のピーカンナッツを買っておく。シュウ酸含有量が少なくて良い。オメガ6含有量が多いのが難点だけれども。どちらの含有量も少なく、パルミトレイン酸含有量の多いマカダミアナッツに次ぐ候補として時々食べる。 移動する。Maurizio Pollini, Bach: The Well-Tempered Clavier  Book 1, Disk 1 を聴きながら。 渋谷駅で下車してウィリアムモリス 珈琲&ギャラリーに立ち寄る。モカを飲みながら店主さんといろいろとお話をする。 1時間ほどで出る。ヒカリエのベンチでピーカンナッツを摘む。 そのまま歩いて。 古川諒子 ・ 鈴木秀尚 ダブル個展を開催中の Biscuit Gallery  に向かう。1Fは両者の作品、2Fに古川作品、3Fに鈴木作品、が展示されている。 古川諒子個展「 かわいそうなジェーン・ブラウンさんは国民に演説を行った 」 作家の言によると 「私は言葉から連想されるイメージをもとに絵画を制作しており、原則として、以下の項目をルールとしている。 (1) 第三者によって書かれた文章を切り刻む。 (2) 制作者が(1)の文章を再構成する。 (3) (2)の文章のみを手がかりに、絵画を制作する。」 とのこと。 鈴木秀尚個展「 鳥と鏡 」 「虚構と現実をテーマに絵画を制作を続ける。普段私たちが経験する現実、そして想像し作り上げる虚構。2世界を隔てているように見せる境界線をぼやけさせ、観者に「真に見えているものとは何か」を問いかける。」作品とのこと。 ギャラリーを出る。ふとすぐ近い松濤にある ギャラリエ・アンドウ はどうなっているかを見ていこうと思い向かう。 ギャラリエ・アンドウにはコロナ禍前まで定期的に展示を観に行っていた。行われた展示で 内海聖史 さんの作品を2つ購入して以来、お邪魔するたびにギャラリストの方とお話ししていたのだが、コロナ禍以降新しい展示が全く行われなくなっていたので心配していたのだった。 ギャラリエ・アンドウで購入した内海作品画像 ギャラリエ・アンドウは閉まっていたけれども建物内には灯りがついている。入り口のドア近辺にもいろいろな美術館のこれか