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11月, 2025の投稿を表示しています

通知の封を開け金子葵展を観てボナール本が届きデザートローズを購入する

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( 某日。 数日前に自治体から自分宛に届いた郵便での通知を未開封のままにしていた。マイナポータルを開設しているのにいまだに紙で通知が来る。 対面ではなくポストに入っていた。封を開ける。予想していなかった嬉しい内容。要件を満たしていたようだ。要件を満たしているのであれば当然のことでありがたいと思う必要はないのだが、とはいえありがたい。封を開けてよかった。 買い物で外出する。買い物がてら展示をひとつ見ることにする。交通機関を乗り継いで下北沢駅で下車し下北沢アーツに立ち寄る。 開催中の金子葵個展「 魔法クラブ2 」を観る。 右中央の一番小さい作品の画像 木パネル、石膏、エンカウスティーク、アクリル絵具、油彩。 色彩のトーンと装飾性の強さが共通している。今年の春に大学を卒業し院に進学した作家。すでに完成したスタイルを持っているかのようだ。 「実家の雰囲気、古代遺跡、廃れた温泉街など過去の美意識に共感し製作する。 画集や展覧会で観たポンペイ遺跡の壁画に心を奪われ、一部の作品に取り入れているエンカウスティーク技法が作品をミステリアスに強く印象付ける。」 作家の言葉 「私の作品は絵画でありながら、短編のエッセイや物語のような側面も持ち合わせています。モチーフやコンセプトは、実際に目にした風景や自身の体験、そこで揺れ動いた感情から生まれます。 私は、かつてバブル期に栄えた観光地のある町で幼少期を過ごしました。今では人影もまばらになったホテルや、当時の名残をとどめる装飾が街のあちこちに残っており、栄華の痕跡とその後の静けさが同居するような空気に、子どもながらに強い印象を受けました。 また、ふと立ち寄った場所で、空気が妙に静かすぎたり、理由のないざわめきを感じたりすることがあります。そこに何があるわけでもないのに、思わず足を止めてしまうような空間の気配は、私にとって重要なモチーフのひとつです。 ビジュアル面では、廃墟や古びた風合い、伝統的な模様、バブル期の建築といった、時代を越えて残る過去の美意識から多くの影響を受けています。 技法においては、作品ごとに石膏地やエンカウスティークなど複数の素材を使い分けています。特にエンカウスティークには、素材としての質感に加えて、その技法が使われていた古代都市ポンペイの歴史に強く惹かれるものがあります。突然終わりを迎えた文明の痕跡には、バブル期の栄華...

代官山「番外編 私物捨離」マーケットで松本隆の初版本などを購入する

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( 某日。 定期的にお邪魔していた白金台にあるポタリ pottari ギャラリーの移転に伴って、移転先にある蒐集物をどうするか問題が発生していることをギャラリストさんから聞いていた。結局その移転先の方ともう1人の蒐集家との2人の蒐集物を放出する、断捨離ならぬ「私物捨離」マーケットが代官山 B1FLATで行われることになった。本日はそのマーケットに行くことにしている。 11時20分頃に外出する。五十嵐一生 meets 辛島文雄,  I Wish I Knew   を聴きながら。 交通機関を乗り継いで代官山駅で下車しB1FLATに入る。タイトルは「 代官山 NEWOLD Market 番外編 私物捨離 」。代官山 NEWOLD Market は古物商やアーティスト、デザイナーとPottari gallery が開催する室内型マーケットでこれまで2回開催され今後も定期的に開催予定になっている。今回はその「番外編」。 到着すると、通常のマーケットの時は会場に居られるpottariのギャラリストさんが、入って右側の調理スペースに居られる。ご挨拶する。「今日はこの中にいるんですね」というと、今回はフードドリンク担当で、たこ焼きとスパイス梅しそシロップを調理・販売するということだった。 ざっと会場を見渡すと、よく分からないたくさんのもので溢れかえり人が群がっている。 今回のマーケット説明文によると 「NEWOLDのディレクターを務めます手塚敦嗣と、なんでもコレクター、トクオタカマサの出店者2人だけのマーケットです!私、手塚敦嗣は長年の蒐集と制作、自堕落な生活が祟り、自宅は単なるゴミ屋敷と成り果て、なんとか生活空間を確保すべく、日夜梱包作業を続けています。 トクオタカマサは、知る人ぞ知る脅威のコレクターで、その膨大なコレクションの中から手放す時期を迎えた物モノを販売致します。 断捨離ならぬ、私物捨離!これからも断つことの出来ない蒐集癖を継続するための新陳代謝!長年の蒐集物を大放出致します!ご期待下さい!」 こういうことなので「番外編」なのだろう。手塚さんは自分がpottariギャラリーに行くたびにお会いする。作品を購入したときにも居られた。そういうわけで今日も「いつもありがとうございます」と仰る。ということはpottariの経営者なのだろうか。Pottariの移転...

三軒茶屋で辻可愛個展「萌しさがし」を観てウィスキーを飲む

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( 某日。 エントリー「 作品配置換えを行い渋谷で迷うも清川漠個展、中屋敷智生作品などを観る 」の続き。 渋谷ヒカリエから渋谷駅に入り田園都市線に乗車し三軒茶屋駅で下車する。 北口Aの出口から茶沢通りを歩きtwililightに向かう。 到着。開催中の辻可愛個展『 萌しさがし 』を観る。 次の小作品群画像は版画 上の階でも展示されている 在廊されていた作家とお話しする。2年前に同じくtwillightで開催された辻さんの個展『 あいだの捻転 』を観て感銘を受けたこと、特にこちらの2枚 が凄くて次の個展もぜひ観たいと思って伺いました、とお伝えする。その個展のことはエントリー「 三軒茶屋で辻可愛個展「あいだの捻転」を観る 」で記している。自分で勝手に2枚組だと思っていたら実際に2枚組だった。同じ風景を上下逆にしてその複雑さを描いているそうだ。 2年前の個展はタブロー中心、今回はドローイング展だが、どちらの個展でも版画群が展示されている。前回の版画群 前回個展についての上掲エントリーでも記したように、恩地孝四郎を想起させる。作家に、常に先人のことを持ち出すのはあれですがどうしても恩地孝四郎を思い出してしまいます、とお伝えする。すると作家は恩地孝四郎のことが大好きで作品制作にあたり参照し影響を受けているとのことだった。 今回の個展でもよく分からない複雑さの感覚がありますね、もっぱら風景モチーフとのことで言いにくいのですが内臓の中に入りグニャグニャと移動しているような感じがします、入ったことはもちろんないので入ったとしたらということですが、とお伝えする。そういう感覚は作家がタブローやドローイングを制作するときに探っている感覚の質とそれほど遠くないかもしれないとのこと。内臓は内部にあるけれども皮膚として外部でもある。内が外で外が内、というような感覚など。 他にもいろいろお話を伺う。ありがとうございます。 展示に添えられた作家の言葉 「絵を描くことは私にとって、何が見えているか、どのように見ているか、なぜそのように見えているのかを探ることでもあります。  たとえば風景を作っている(地中や空も含めた)さまざまなもののなかに、時間や大きさのスケールを変えてみると、微生物や海から届いた空気など私が今風景と認識する見え方のなかには見えていないけれど潜在するものがあります。 観察とともに、...