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6月, 2025の投稿を表示しています

日本橋でグループ展を観て勝手に考えてしまう

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( 某日。 自宅にて自炊第2食目を摂る予定で午前中に外出する。好天。 交通機関を乗り継いで地下鉄日本橋三越駅で下車する。いつものように地下食品街から三越本館に入る。ゆっくり一回りして視覚と嗅覚を刺激してから6階に昇りコンテンポラリーギャラリーに行く。 開催中の東京藝術大学大学院美術研究科油画第6研究室による企画展『 ピテカントロプス Project by The 6th Laboratory Oil-Painting Department of Tokyo University of the Arts 』を観る。 敬称略。 薄久保香 山本和真 梅本匡志 宮林妃奈子 フカミエリ Lea Embeli 盧曦航 Ro Kiko 小久保タクミ 作品を初見の作家もいれば何度か拝見した作家もいる。後者について作品の変遷がわかるほど観ているわけではないけれども。 東京藝大の研究室ということでこのような場や類した場で発表できる可能性が高まる、という特権があるのかもしれない。この特権の利得込みで、1番難しく権威があるとされている東京藝大を目指す、に入る、ということもあるのかもしれない。そのためにそうでなければしなかったかもしれない苦労や努力をするということがあるのかもしれない。最初からどの制度を経ても発表機会は平等だというのなら、異なる場所で異なる学び方をする人が増えるのかもしれない。どの制度を経由するかによって事実上その後の発表機会や発表のしやすさに差があるということがある程度確認されているのなら、この差を考慮に入れた上で制度を選択するというのはこの文脈では合理的な判断だという言い方もあるだろう。外部から見ればこうした差は不公平なのかもしれない。ただ、これからある制度に入って行こうとする若い人に、すでに存在するこの差の是正をするよう求めるのは酷な話のような気がする。この差の存在が制度選択の理由の一つだった場合、学んだ後でいざ発表しようとするときに「この差はなくしましょう」といわれると、この制度で学んだ人の中には「話が違うじゃないか」と思う人がいてもおかしくないと自分には思える。 鑑賞者が作家の経歴といった外部情報を括弧に入れて作品だけを観て自分の価値基準・感受性 で味わうようになれば、このような学歴に紐づいた特権がなくなるという考えもあるだろう。これはしかし難しそうだ。この...

睡眠に関する書籍を購入し料理を作りチャイティーを飲みスパイスを知る

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( 某日。 終日在宅の日。 Matthew Walker, Why We Sleep: the New Science of Sleep and Dreams (Penguin, 2017) を購入し読み始める。睡眠科学の最新知見がまとめられている。睡眠が脳を含め身体のあらゆる部分に、良い悪いどちらでも、甚大な影響を与えること。敢えて身体への重要度を比較すれば、睡眠は食と運動よりも重要度が高いこと、つまり睡眠が乱れていれば食と運動の効果が著しく減少すること。良さそうな書籍。 日本語訳がある。タイトルは「 睡眠こそ最強の解決策である 」(SBクリエイティブ、2018) 原著メインタイトルが何一つ反映されていない。「睡眠」という名詞、「こそ」という強調、「最強の解決策である」というフレーズ、何一つ原著メインタイトルには含まれていない。副題の「新しい科学」「夢」も除かれている。Amazonレヴューのうち1つには「良著だが原著者がかわいそう。内容の削減・ざっくりな意訳・残念なタイトルと装丁。」とある。 Mathias Eick, Lullaby を聴いてみる。初めて知ったノルウェーのトランペッターのアルバム。参加しているメンバーではピアニストの Kristjan Randaluだけ知っている。彼がリーダーのアルバムを1枚持っているので。 パートナーのランチを作る。 エノキ、トマト、小松菜、かぼちゃ、油揚げのお味噌汁。良い出汁パックと自家製味噌で。大根のゆず酢醤油漬け。玄米と黒胡麻搾りかす。スライス玉ねぎ、わかめ、米粉をまぶして茹でた鶏胸肉。タレは、ニンニク・生姜・黒胡椒・豆板醤・魚節に漬けただし醤油・煮切り本味醂・玉ねぎのみじん切り・たっぷりの花椒・黒酢・搾りたての黒胡麻油、を混ぜたもの。パートナーが好きなタレ。本味醂は、隣のスーパーマーケットで販売している物の中で1番良さそうな 九重櫻 を買い使う。 黒酢はいつも使っている 臨醐山黒酢 。 美味しかったようで何より。 自分の自炊第2食目の後、パートナーがチャイティーを飲むと言うので一緒に作ってもらう。 美味しい。ありがとう。独特鮮烈でスパイシーだと感じるので製品を見てみる。 最初の2つはショウガと黒胡椒。ブラックカルダモンも入っている。「ヒハツ」というスパイスは知らなかった。調べるとインドナガコショウ、ロングペッパーとも...

老化・寿命・死に関する書籍を読了し美味しいコーヒーとウィスキーを飲む

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( 某日。 夕方まで在宅の日。 Rita Marcotulli, Peter Erskine, and Palle Danielsson,  Trio M/E/D   などを聴く。 老化・寿命・死に関する書籍 Venki Ramakrishnan,  Why We Die: The New Science of Aging and the Quest for Immortality  (William Morrow, 2024) を読了する。 「ストレスがかかると、私たちの体はストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを多く分泌し、テロメラーゼの活性を低下させる。」(p. 77) “When we are stressed, our body produces much more cortisol—referred to as the stress hormone—which reduces telomerase activity.” (p. 77) 寿命・病気・免疫などに関するどの類書を読んでも、慢性ストレスが良くないことが指摘されている。 「老化の特徴のひとつは、巧妙にも炎症老化inflammagingと名付けられている、 慢性的な低レベルの炎症である。炎症老化が起こるのは、ミトコンドリアが古代のバクテリアに由来するためである。古く欠陥のあるミトコンドリアは破裂しやすく、自身のDNAやその他の分子を細胞の細胞質に漏出させる。細胞はこれを細菌の侵入によるものと勘違いし、炎症を引き起こすのだ。」(p. 178) “One characteristic of aging is a chronic low level of inflammation, cleverly dubbed “inflammaging.” Inflammaging owes its existence in part to our mitochondria’s ancient bacterial origins. Older, defective mitochondria are more prone to rupture and can leak their DNA and other molecules into the cytoplasm of the c...

表参道で山本亜由夢個展を観て色彩を浴びる

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( 某日。 エントリー「 両国のArt Trace Galleryでグループ展を観る 」の続き。 Art Trace Galleryを出て両国駅に戻る。ここに来た時には立ち寄ることが多いギャラリーMoMo両国とLight House Galleryには立ち寄らず。 次の目的地は表参道駅。両国から都営大江戸線で青山一丁目まで行き半蔵門線に乗り換え表参道駅まで行くか、あるいはJRで御茶ノ水駅まで出て新御茶ノ水駅から千代田線に乗り表参道駅まで行くか。後者にする。  表参道駅に到着する。人で賑わう表参道の表参道ヒルズ側を原宿方面に歩き、表参道ヒルズ手前の斜めの道を入る。MAKI Gallery に着く。 開催中の山本亜由夢個展「 Travel the topics 」を観る。 入り口のドアを開けてすぐ正面に設置されているメインヴィジュアル大作 他にも大作から小作品まで。 上掲最後の画像中の3枚の作品を1つずつ 他にもたくさん こちらのプレスリリース に作家、作品、本展示、について記されている。 個々の画面中の動植物・人物に注意が向かう前に、そして注意を向けようとしても、色彩に感覚が持っていかれる。目を少し動かずと他の作品の色彩が目の周囲から入ってきて、ほとんど色彩を浴びるだけの鑑賞体験になる。色彩の情報量だけで感覚が飽和する。 在廊されていた作家とお話しする。作家には初めてお会いするけれども、作品は2019年に西荻窪のギャラリーフェイストゥフェイスで開催された個展から観ているから、作家のごく初期のキャリアから観ていることになる。その後も国立のコートギャラリーで開催された個展を観ている。これらのことと、フェイストゥフェイスのギャラリストさんが「期待の新星が現れました」とメールで興奮気味に記していたことを思い出し、そのように言っていましたよ、と作家にお伝えする。ギャラリーの方も含めて、以前と変わったなあと思うことはありますかと聞かれて、色彩が鮮やかにヴィヴィッドになったように感じること、色彩を乗せる単位同士がより緊密に定着している感じがすること、を挙げる。以前は彩度がもう少し弱めで色彩の単位も浮遊しているような感じがあった。良い悪いということではなく、そうした特徴が以前の作品には合っていたのだろう。作家も同意という感じだった。 山本さんはこの MAKI Gallery ...