ポール・ヴァレリー『ドガ・ダンス・デッサン』(岩波文庫、2021)

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某日。

昨年出版されたポール・ヴァレリードガ・ダンス・デッサン』(岩波文庫、2021) を、所収の訳者による長大なあとがきから読み始める。


行き届いた訳者あとがきで非常に助かる。

『ドガ・ダンス・デッサン』のオリジナル版は1936年 Ambroise Vollard によって刊行されたもの。

あとがきによると、オリジナル版でヴォラールは「ヴァレリーの文章、さらにドガのデッサンだけでなく、その二つを融合させ、ページを繰るごとに独特のリズムが生まれるよう配置した」ようだ (p. 249)。「ドガの絵が、ある確かに感じとれるリズムと構成によって現れるように本全体が組み立てられている」 (p. 253)。

Vollard は考え抜かれた画と文章からなる livre d'artiste (artist’s book) を既に出版していた(例えば1900年出版、BonnardとVerlaine のそれなど)。おそらく『ドガ・ダンス・デッサン』のオリジナル版も作りとしてその流れの一冊なのだろう。

ヴァレリーは、ドガ、ダンス、デッサン以外についても語っている。例えば: 

「政治でも、経済でも、生活様式でも、娯楽でも、芸術運動でも、現代性のあり方は全て中毒というあり方であると私は考える。麻薬の量を増やさなくてはならない、そうでなければ毒物の種類を変えなくてはならない。これが掟なのだ。」 (p. 167; 傍点強調は太字強調に改めた。)

「もはや楽しむ術を人びとは知らないのだ。われわれが求めているのは強度、巨大さ、速度、中枢神経に最短経路で直接作用することなのだ。」(p. 196-7)

このように特徴付けられる「現代」の趨勢への嫌悪と、しかしその趨勢の支配が不可避であることへの諦念が、ヴァレリーの文章から滲み出ている。

対義語的なものを考えてみる。

「現代性のあり方」とは現代における人間の生のあり方、ということだろうから、それに対するのは「過去のあり方」あるいは「現代における違ったあり方」だろう。

「強度」とは感覚的なものの刺激の強さだろうから、それへの対義語は「繊細なもの・微かなものへの感覚・感度・感受性」といったものだろうか。

「巨大」を「サイズで判断すること」と解すれば「巨大」に対して「質 (卓越など)」。サイズで考えれば「巨大」に対し「微細」。「巨大」を大きさの形容の点から考えれば「巨大」に対し「偉大」。

確かに、物理的には小さなサイズの、繊細で微細な点に配慮が行き届き、それでいて与える印象が物理的サイズを遥かに超えたスケールを感じさせる絵画作品がある。卓越した偉大な作品と呼ばれる一つの範例かもしれない。

「速度」はここでは「速ければ速いほど良い」ということだろうから、「速度」の対義語句は「ゆっくり、じっくり、時間をかける」だろう。

「中枢神経」に対しては「辺縁・周縁・周辺・中心化されない神経」。「最短経路」の対義語句は「予め計算せず迂回を厭わない」。上述を考慮すると、「直接作用」にの対義語句は「多様な部分が統合された上で中枢神経に作用」といったものだろう。

二項のうち前項群が圧倒的に支配的な場合が「中毒」としての「現代性のあり方」。後項群、つまり対義語群が優勢な場合、「中毒」の対義語的なものは、上述の対義語群で表されるような諸事物の「健全なバランス・均衡」、というところだろうか。

「楽しむ術を知っている」とは、こうした対義語群で特徴付けられる態度が、生きる術となって血肉化されているということだろう。

「もはや…知らないのだ」ということは、かつての人びとは「楽しむ術を知ってい」た、ということなのだろう。

ヴァレリーが好むのはこうした対義語群で特徴付けられる生のあり方のようだ。

「われわれが求めているのは」とヴァレリーは書く。われわれはすでに「麻薬」によって「中毒」症状にあるということだろう。ヴァレリーの諦念には、上述の二項対立そのものが、批判的思考のための仮構としてももはや無効である、という認識も含まれていると解すべきだろうか。あるいはこうした対立は「麻薬」によって生み出された幻覚、偽の対立なのだろうか。

Edgar Degas デッサン集 Degas’ Drawings (Dover Publications, 1973) にも目を通す。


Peter Erskine with Palle Danielsson and John Taylor; As It Is; などを聴く。


6:00 起床。NY市場チェック。

グラス一杯の水を飲んで柱サボテンとボトルツリーをヴェランダに出す。

シャワー。

珈琲を淹れる。オーガニック豆 20g、260ml。ヴェランダで日光に当たりながら飲む。

スロージョギング。

9:00-9:30 第一食。自炊。マグネシウム (にがり顆粒 2g)、ビタミンB (Dear-Natura Mix)、ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g)、ビタミンD3 (Health Thru Nutrition 10,000Iu)、ルテイン、ゼアキサンチン、イヌリン粉末 5g、グリシン粉末 3gを摂取。

ストレッチ。ホットココア(オーガニック、非アルカリ処理)。

絵画、織物、器、立体作品、をゆっくりじっくり見て諸感覚に刺激を与える。

Organic Psyllium Whole Husk Fiber 5g を水に溶いて飲む。

15:30-16:00 第二食。自炊。亜鉛 (Nature Made 10mg)、ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g) を摂取。

オーガニック生姜粉末を溶いた熱い生姜湯を飲む。

総脂質摂取量約 155g  (オーガニック・エクストラバージン・コールドプレス・ココナッツオイル 40g、MCTオイル (C8) 10g、オーガニックエクストラバージンオリーブオイル 20g、魚から25g、アボカドから18g、マカダミアナッツから 35g、えごまの実から 4g、他)。

総野菜摂取量約 800g。

総食物繊維摂取量 50g ほど。

総タンパク質消化吸収量 40g 程度。

摂取 Net Carb (炭水化物マイナス食物繊維) 量約 50g。

マグネシウム (にがり顆粒 1g) を摂取、Coconut oil pulling、軽いストレッチ、腹式呼吸、就寝。
)
 

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