購入した高島進さんの作品が届き、ジョニ・ミッチェルの復活を知る
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某日。
複数のギャラリーで10年以上は継続的に作品を観ている高島進さんという作家がいる。エントリー「西荻窪で15周年記念展を観て平野充作品を受け取る」で触れた画家の矢野静明さんの場合と同様に、ギャラリーフェイストゥフェイスで初めて高島さんを知り始めて作品を観たのだった。
調べてみると、2011年、まだギャラリーが吉祥寺にあった頃に開催された「木藤恭二郎+高島進展『時を刻む線ー現れる面』」のことのようだ。
先日、高島進さんの作品をセカンダリーマーケットで購入した。プライマリーマーケットではありえない低価格で購入できたのだった。市場では金銭的な価値があると見做されていないということだろう。だから投資対象として買う人もいないのだろう。
自分はとても好きな作家。投資のためではなく、毎日観ることで自分の感覚が豊かに (涵養・更新・進化・鋭敏、など) なって行くだろうと感じて購入する。誰もが感覚を豊かに「しなければならない」ということはない。自分ですらそう「しなければならない」ということはない。あくまでも自分はそのようにすることを好む、というだけの話だ。
本日はその作品が到着する。嬉しい。
作品サイズ: 440x440(mm)
額サイズ: 675x675(mm)
2005年
B.V. : G. : Or. = 6 : 2 : 1
8408・4
B.V. はブルー・ヴァイオレット (青紫)、G. はグリーン、Or. はオレンジ、を意味する。これらの色のインクを使用しているということ。
6: 2: 1 というのはこれらのインクを用いるそれぞれの割合を指す。
使用する色の順番は振ったサイコロの出目によりランダムに決めている。
8408・4 というのはRaphael ラファエル水彩筆8408・4号を指す。その筆を用いて描いているということ。
上掲画像では分からないけれども、作品最下部に制作年月日、タイトル、B.V. : G. : Or. = 6 : 2 : 1 8408・4、手書きのサイン、が記入されている。
額なし
『目的を生む「手段のためのドローイング」 高島 進
人の行動、特に仕事には大抵、目的と手段が付いてきます。人はまず、目的を決め、手段を考えて実現しようとします。しかし、私の場合、よく最初の目的がズレて変形し、予想もしない結果に一喜一憂する事が多くあります。私はそれは、手段の中に、それ自身複数の潜在的なスイートスポットがあり、その快感が、生き物のように別の目的を生み出し、元々の目的からはズレた方向に導くからではないかと思っています。しかし私は、最初想定していた目的よりも、その手段が生み出す目的の方にこそ再認識するべき点があり、その中に新たな発見を導く可能性があるのではないかと考えています。
私の作品は全て、「筆、アクリル絵具と紙のためのドローイング」「鉛筆削り、色鉛筆とキャンバスのためのドローイング」「メタルポイントと紙のためのドローイング」等、線を描くための手段を表現する「道具とメディウムのためのドローイング」です。筆に絵具をつけて描かれた線は、最初が太く、徐々に細くなり、かすれて行きます。色鉛筆や金線、銀線等、メタルポイントの線は、最初に先端を削って尖らせて描き初めるので、最初が細く、徐々に太くなります。私はこれら、太さが変わって行く線を反復して強調する事で作品を作り、手段である道具自身が、手段の中から生み出された目的となる事を表現しているのです。
私の作品が共通して強調するのは、私の使う道具が、線の太さが変わる筆記用具であるという一点です。これが私の出会った、筆記する目的からはズレた、潜在的なスイートスポットだからです。しかし、道具にはそれぞれ固有の潜在的なスイートスポットが眠っているはずです。それらを引き出す事が出来れば別の表現になり、表現の幅も大きく広がる可能性があります。しかも道具は、工業生産で日々新しく開発されています。その事は間接的に、その道具が開発された時代をも表現する事に繋がります。「道具とメディウムのための絵画」にはまだまだ色々な可能性が残されているのです。
手段が生み出す目的は、元々の目的を狂わせる力を持っています。だからこそ、手段には細心の注意が必要です。手段の中にこそ美が必要になるのかもしれません。
目的を生む「手段のためのドローイング」、これが私の表現しようとしている主題なのです。』
『道具と素材のためのドローイング
私の作品は、道具や素材別に次の五つに分けられます。
①筆、インクと紙のためのドローイング
②筆、インクと紙のためのドローイング(一筆描き)
③鉛筆削り、色鉛筆とキャンバスのためのドローイング
④金筆、カラージェッソとキャンバスのためのドローイング
⑤金属筆と紙のためのドローイング(金、銀、銅、真鍮)
筆、色鉛筆、金属筆は全て、描き始めから描き終わりまでの間に線の太さが変わって行く筆記用具・素材であり、作品は、そこから生み出される線の集積から成り立っています。
筆の線は、インクを含ませた最初が太く、徐々に細くなり、かすれていきます。逆に色鉛筆の線は、鉛筆削りで尖らせた最初が細く、徐々に太くなっていきます。(最初サンドペーパーで削って尖らせる金属筆も同様)
これら、線のデクレッシェンドやクレッシェンドとも言える、線の太さの変化が私の作品をカタチ作っていくのです。
本来、道具や素材は表現のための手段でしかありません。しかし私の作品では逆に、使われた道具や素材自身が、線の結晶体として表現されるのです。
私は、画材を使って何かを描写するのではなく、むしろ楽器を演奏する音楽家のように、道具や素材自身を描き鳴らそうとしているのかもしれません。
それ故タイトルは、クラシックの器楽曲が「ピアノとフルートのための音楽」等、「楽器のための音楽」であるように、「筆、インクと紙のためのドローイング」等、「道具と素材のためのドローイング」なのです。』
制作過程を撮影した動画を作家のこちらのインスタグラムにて見ることができる。
今回の購入で、所蔵する高島進作品は4つになった。すでに持っていたのは、キャンバスに色鉛筆の小品を2つ、紙に銀筆の小品を1つ。今回はまだ所蔵していない筆・インク系列の良い作品だったので購入したのだった。
これら3作品は以下の通り。全てサイズは133x113(mm)。小さいけれども良い。
色鉛筆、カラージェッソ、キャンバス
制作年月日と制作に用いた道具は裏面に記載されている。
作家からの私信によれば、自分が所蔵している色鉛筆2小品は、その後に開催されたサンフランシスコにおける「個展作品のエスキースです」とのことだった。
サンフランシスコでの個展とは2019年のChandler Fine Art & Framingでの個展を指す。ここで言われている個展出展作品はおそらくこの2作品のことだと思われる。
後者はあるいはこちらかもしれない
600x600(mm), 450x650(mm) という、「エスキース」に比して格段に大きなサイズの2作品。良い。
同個展での展示作品のいくつかはギャラリーのサイトや作家のインスタグラムで観ることができる。
同ギャラリーでは2014年にも個展を開いている。San Fransisco Chronicle 誌上に高島進個展のレヴューが掲載されたようで、リンク先のサイトに転載されている。この時は会期を延長して2015年1月まで開催したようだ。これらのこと、および個展を2回開催しているということから、高島進作品が、少なくてもサンフランシスコでどのような評価を受けているかを窺い知ることができる。最近ではVenti Journal & Collective: Art - Experience - Aesthetics というアート批評誌上に高島進作品とそのレヴューが掲載されている。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションにて、08/26/-11/19/2023の会期で開催される「光へ漕ぐ舟 〜 手から生まれるはるかな広がり 〜 浜口陽三と桑原弘明、高島進、前田昌良」に出展するようだ。観に行こう。
Herbie Hancock, River: the Joni Letters などを聴きながら、いくつか作品の配置換えを行い、届いた作品を設置して観る。良い。
ジョニ・ミッチェルを調べてみると、原因不明の難病でもう音楽活動は無理なのではと思っていたのだが昨年ステージに復活していた。その時の音源がつい最近リリースされていたのを知る。Joni Mitchell, At Newport Featuring the Joni Jam.
今年もステージに2日間上がっているようだから、復活は昨年1日限りということではなかったようだ。良い知らせに嬉しくなる。
5:30 起床。
NY市場終値をチェック。
グラス一杯の水を飲んで柱サボテンとボトルツリーをヴェランダに出す。
シャワー。
大きめのカップに珈琲を淹れる。オーガニック豆 20g、260ml。飲みながら作業、読書。
スロージョギング。
9:00-9:30 第一食。自炊。マグネシウム (にがり顆粒 2g)、ビタミンB (Dear-Natura Mix)、ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g)、ビタミンD3 (Health Thru Nutrition 10,000Iu)、亜鉛 (Dear-Natura, 14mg)、ルテイン、ゼアキサンチン、コリンサプリ、タウリンサプリ、イヌリン粉末 5g、グリシン粉末 3gを摂取。
ストレッチ。
高島進作品を改めてじっくり観る。
15:30-16:00 第二食。自炊。ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g) を摂取。
ホットココア (オーガニック、非アルカリ処理)。
休憩。音楽、読書、作業。
マグネシウム (にがり顆粒 1g) を摂取。
Coconut oil pulling、軽くストレッチと腹式呼吸、就寝。
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