書籍を読了して、家に設置してある美術作品について考える
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某日。
Frank Zappa, One Size Fits All を聴く。
エントリー「書籍を3冊購入しブラジル音楽を聴く」で言及した、Andy Clark, The Experience Machine: How Our Minds Predict and Shape Reality (Pantheon, 2023) を読了する。
嘘をついているのではなく、時に所蔵作品が増えることはあるけれども基本的に同じ作品群を毎日観て、そのように感じるのでそのように記している。
なぜこのことを書いているかというと上記の書籍に記してあったことと関係しているように思われるからだ。
上記の書籍は予測機械としての脳を論じる。世界を構造化して、生きるための行動の諸可能性を押し広げるべく、脳はinteroception (bodily 体内刺激諸感覚)、proprioception (action-guiding 動作誘導的な固有受容感覚)、そしてexterioception (outward-looking 体外で起きる刺激への感受性) についての予測をし、予測の不確実性を実際に経験する刺激と間で調整し生きるための行動を最適化していく。
その議論の中で、aesthetic chills について書かれた箇所があった (pp. 109-112; also pp. 117-8)。aesthetic chillsとは、突然感情・感性が豊かに高まった時 ("at moments of sudden high emotions") に多くの人が経験する、しばし鳥肌が立つような生理的現象を伴った、独特の震えるような感覚 ("distinctively shivery feelings") のことを指す。
例えば芸術作品に出会ったときにそのような感覚が、その出会いへの反応として ("as a response to art") 生じることがある。
Aesthetic chills は、我々が「何か」に出会い、我々の脳がその「何か」を、上述した重要な不確実性を解決する、決定的で新たな情報だと同定する時に生じる。
"These chills occur when we encounter something that our brain identifies as critical new information that resolves important uncertainties."
すでに記したように芸術作品への出会いもそのような「何か」でありうる。
aesthetic chillsは必ずしも出会ったことのない芸術作品や音楽に初めて出会ったときにのみ生じるのではない。繰り返し同じ作品や音楽に出会うことが、新たな、より深い様式・模様・模範・模型を明らかにすることがある。“repeated encounters can also reveal new, deeper patterns.” これらのパターンを、上述のように脳が決定的に重要な新情報だと同定するのだろう。
aesthetic chills は、このような「何か」について脳が推定していた重要性が突然増大したことの、生理学的指標である。"Aesthetic chills are a physiological marker of this sudden increase in estimated importance."
先に「感情・感性が豊かに高まった時 ("at moments of sudden high emotions")」と記した。 感情・感性の高まりemotion はこのようにして不確実性を解決することで、我々の、結びついている認知・感覚運動系 "embodied" が世界と同調している (あるいは同調が欠けている) ことの指標である。
"Emotion... is a kind of our embodied attunement (or lack of it) to the world."
家に設置してある美術作品群を毎日観て、音楽も毎日聴いて、先に述べた定型文のようなことを感じる。必ずしもaesthetic chills が生じるわけではないけれども、そちらの方向に位置する感覚であると思う。その含意は、毎日観て聴いてそのように感じるたびに、世界とのより佳い出会いができるよう、interoception、proprioception、そしてexterioceptionの予測の調整がなされている、ということだろうか。証明できることではないけれども、そう記してみるとそのような気がしてくるのだった。
ただ、そのような作品群で自分の空間を満たしていると、こうした感覚が同じ方向に進む代償として、あるいはそれと比例して、異なる作品群への感覚が鈍るということはないのだろうか。そのような懸念もあって、必ずしも現時点での自分の感覚に合わないことが分かっている作品群を、購入しないまでも展示で意識的に観るようにしている。
なおaesthetic chillsを検索すると、上述のように、環境世界の中での行動可能性を押し広げていく機能を持つものとしてaesthetic chillsを扱った学術論文がいくつも出てくる。
5:00起床。NY市場終値をチェック。
グラス一杯の水を飲んで柱サボテンとボトルツリーをヴェランダに出す。
シャワー。
大きめのカップに珈琲を淹れる。オーガニック豆 20g、260ml。飲みながら読書。
スロージョギング。ゆっくり腕立て伏せ10回x 7セット、合計70回。
9:00-9:30 第一食。自炊。マグネシウム (にがり顆粒 2g)、ビタミンB (Dear-Natura Mix)、ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g)、ビタミンD3 (Health Thru Nutrition 10,000Iu)、亜鉛 (Dear-Natura, 14mg)、ルテイン、ゼアキサンチン、コリンサプリ、タウリンサプリ、イヌリン粉末 5g、グリシン粉末 3gを摂取。
ストレッチ。ホットココア (オーガニック、非アルカリ処理)。
いつものように、家に設置してある絵画、織物、器、織物、立体作品、をゆっくりじっくり見て諸感覚を更新する。
読書、作業、音楽。
15:30-16:00 第二食。自炊。ビタミンC (L-アスコルビン酸 1.5g) を摂取。
休憩、読書、作業、音楽。
マグネシウム (にがり顆粒 1g) を摂取。
Coconut oil pulling、軽くストレッチと腹式呼吸、就寝。
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