小林紗織作品を受け取りTraveling Wilburysを聴きウィスキーを飲む

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某日。


渋谷ヒカリエをB3Fまで降りる。ビルを出てすぐに改札のある東急東横線に乗車して都立大学駅で下車する。

本日はエントリー「Chalie Haden/John Taylor Duoを聴き小林亮平・小林紗織展を観て小林紗織作品を購入する」で言及した小林紗織作品を、展示会場のnoie extentにて受け取ることになっているのだった。

購入した作品


タイトル:「日常の彼方#2」
サイズ: 620x620(mm)
技法: イラストボード、コピック、アクリル、カラーペン、コラージュ
制作年: 2023年

作家が居られたのでお話しする。上記エントリーで記したように、作家は音と色の共感覚の持ち主のようで音・音楽を聴いて色と形態として表現している。

作家はミュージシャンでもある。この作品は10年以上前の自分のグループの曲を聴いて色彩と形態に変換したもの。変換ではないかもしれない。曲の音とリズムと色彩と形態は照応しているのかもしれない。あるいは音・リズム・色彩が構成する不可分のユニット・単位・ブロックがあるのかもしれない。外部からの音源を聴いて色と形態として表現することが多いようだ。この場合は外部入力と内部出力。この作品の場合は、自分が制作した音源を聴いて色と形態にしているところ。このことについては以下でもう少し述べる。

画面で薄く写っているように五線譜が3つ印刷されている。五線譜の1番上左から右へと絵は移動して2番目、3番目と降りていく。作家によると、曲の長さと色と形態の描かれる部分の長さは厳密に対応しているとのこと。例えば曲の10秒は五線譜の書かれた紙のこの長さで表現する、など。

五線譜を左から右に・上から下に降りていくという構造と規則 (英語書籍の文章のように) は西洋由来のものだろう。それに従わなければならない理由はあるのだろうか。例えば右から左・上から下に、あるいは右上から右下に降りて左に移動していく (縦書きの日本語書籍の文章のように)、という記法で色と形態を表現したことがあるのか、お聞きする。ないとのこと。元々ピアノをやっており五線譜を自明視しているところがあるからかもしれない、とのこと。

画像の表裏を反転させた次の画像


をオリジナルとともにそれほど違和感なく観ていたのでお聞きしたのだった。画像データであれば他にも90度、180度、270度の回転、それぞれに表裏反転、というように観ることができる。実物の作品ではこれらのように観ることは不可能だけれども画像データなら可能だ。実物に対する画像の数少ない長所だろうか。

上掲画像では分からないのだが、手書きの色彩と形態に見える部分には少なからずコラージュ部分がある。この部分について作家にお聞きする。音に照応する色と形態がどのようなものなのか、感覚ではわかっているのだけれども手書きで最良の表現をしきれないと感じる時がある。そういう時は家にある百科事典などを見てこれだと思ったページをコピー機に乗せて、コピーをする際にページを動かしながらコピーをするそうだ。そうするとコピー元の画像から歪んだり曲がりくねった線・色・形態が印刷されたものが出力される。出力されたものからピンとくる部分を切り取ってイラストボードに貼る。手書きでさらに色・線・形態を付け加えていく、とのこと。とても興味深い。

音・リズムと色彩・形態の変換あるいは照応は非常に厳密なようだ。それなのに画面はこちらの感覚を自由にするように働きかけてくる。

購入して良かった。新生活はギリギリ大丈夫。

小林さんのことはこの展示で知った。調べると昨年東京オペラシティギャラリーの「project N 91」で展示をしており、そこではリンク先記事の最後に掲載されているように、上記購入作品も展示されていたのだった。

リンク先記事に引用されている小林さんの言葉によると、音の視覚化は「ただの音の視覚化じゃなくて,自分の内側の世界の記録だった」「どこかに残さなければ誰にも知られないうちに消えてしまう、私の『内側』にだけ存在している音と記憶の視覚化」とのこと。

記したように、購入した作品は自身の音源を聴いて作った作品。その音源が録音されているということは視覚化ではない形で「自分の内側の世界」「私の『内側』にだけ存在している音」が記録されている、を記録した、ということだろう。記録された「自分の内側の世界」私の『内側』にだけ存在している音」を改めて聴いて、別の私の『内側』にだけ存在している音」にした上で、それを視覚化という別の形で再記録しているということだろう。音源を繰り返し繰り返し聴いて、音と色・形態の厳密な照応を探りながら制作し完成させるとのことだった。これは、記録された「自分の内側の世界」私の『内側』にだけ存在している音」を改めて聴いて別の私の『内側』にだけ存在している音」にする、というプロセスを繰り返しながら、ということだろう。厳密かつ複雑なズレを孕んだ入れ子構造のようなものになっているようだ。

梱包された作品を受け取ってギャラリーを出る。

移動する。先に久しぶりにCrosby, Stills, Nash, & Youngを聴いたせいか、懐かしくなりTraveling Wilburys, Vol. 1


を、これも10年以上ぶりだろうか、聴く。1988年に出た時に聴いている。この後すぐにメンバーだったRoy ORbisonが亡くなったのだった。

バーに立ち寄る。ウィスキーをストレートで4杯飲む。うち3杯。




同席したお客様と楽しくお話ししながら飲む。

早めに帰宅。

オーガニック生姜粉末を溶いた熱い生姜湯を飲む。

 

マグネシウム (にがり顆粒 2gを摂取。

 

Coconut oil pulling、軽くストレッチと腹式呼吸、就寝。

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