癌 単細胞生物 多細胞生物 細胞生存戦略 The Cancer Code (2)

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某日。

Joni Mitchell, Hejira を聴く。35年は聴いているだろうか。


Pitchfork Media 上で毎日曜日行われている、最新情報に基づいた
過去の名盤を再訪して詳細なレヴューを試みるシリーズで、昨年12月にこのアルバムがレビューされていた。10点満点が付いている。



Jason Fung, The Cancer Code (Harper Wave, 2020) を読む。他の書籍と同時進行で読んでいるため、読了まで多少時間がかかっている。

種子

癌の種子は、細胞間での競争を原理とする単細胞生物の生存繁殖戦略に由来する。種子は単細胞生物から多細胞生物へと移行しても変わらない。単細胞生物間の生存競争下では単細胞生物の生存繁殖戦略として発言するこの種子は、多細胞的な生の中で発現して育つと体細胞的な生にとっては癌として現れる。

ということで、癌の起源は全ての多細胞的な生それ自体の起源と同じである。癌化する能力というのは、身体にあるどの細胞もほぼ例外なく持っているそれ自身の生存のための本質的な能力である。

多細胞生物を構成するどの細胞も癌の種子を持っている。多細胞生物では、それを構成する個々の細胞は、単細胞生物としての生存戦略を犠牲にして多細胞生物全体としての生存戦略を優先させる。全体としての生存が個々の細胞の生存になる。細胞間での競争ではなくて協働。この機序が適切に働いていれば種子は発現しない。

“The ability to become cancerous is an innate capability of every cell in the body, almost without exception. … Every single cell of our body contains the seed of cancer” (p. 129; emphasis in original).

“The origins of cancer are found at the origins of all multicellular life itself” (p. 130).

“The seeds of cancer are contained within every cell of every multicellular animal. The origins of cancer life lie in the origins of multicellular life on earth itself (p. 149; emphasis in original).

発現

ある細胞の種子が癌として発現するのは、細胞の周囲環境が悪化し、多細胞生物全体としての協働をしているとその細胞が生存できない場合。その場合、多細胞的な生への協働を拒絶して進化論的な単細胞としての生存戦略を採用する。それがその細胞にとって唯一の生存戦略だからである。これが多細胞的な生にとっての癌の種子。

“the normal cell’s first step toward cancer is an evolutionary response to chronic, sublethal injury. The cancer phenotype develops as a survivalist mechanism that requires rejecting multicellular life. This is the seed of cancer” (p. 248).

細胞の周囲環境の悪化とは、具体的には慢性的 (chronic) で細胞が死ぬほどではない (sublethal) 損傷を負う場合。喫煙、アルコール摂取、慢性的炎症、慢性的ストレス、栄養素不足あるいは過剰、各種有毒物質への曝露、など。

しかし、発現しても環境が整っていなければ成長しない。

“Cancer seeds are everywhere, but they are irrelevant without fertile soil” (p. 255).

The Cancer Code (3) に続く。
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